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  • Yuya Koike

【福祉】若い世代を巻き込んだ高齢者支援体制の整備

 2025年頃、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、我が国は超高齢化社会を迎えます。これは「2025年問題」と言われます。4~5人に一人が後期高齢者となることで、国全体で福祉・社会保障の負担が一層増え、2040年以降の高齢者人口割合は40%程度を継続するという予想もあります。


 「民生委員・児童委員」については、本市に関わらず担い手不足が問題となっています。本年12月に一斉改選を迎える民生委員・児童委員ですが、上尾市では9月時点で定数330名に対して現在22名の欠員が見込まれています。特に、私の地元である「上尾南エリア」は現在定数27名のうち2名の欠員が出ており、市内で最も充足率が低い状態です。これはつまり、民生委員・児童委員一人に対する負担が多くなっていることを示しています。


 また、各地区の定員については、各自治会から市が情報を吸い上げた上で、埼玉県に報告し変更を行っています。上尾市は2022年までは定数325名で、次回改選時が330名なので各地区の高齢者支援のニーズが高まっているにも関わらず、人材発掘が追い付いていないという課題が浮き彫りになりました。


 民生委員の「再任率」(民生委員一人が複数期を跨いで委嘱される率)は上尾市の場合、56%であり、2019年時の全国平均である68.6%より低い傾向があります。民生委員の年齢傾向はほぼ90%が60代以上の方で構成されており、50代以下の比較的若い方は少ないものの再任率は高く73%だそうです。「民生委員制度創設100周年記念全国モニター調査報告書」によると、「民生委員のやりがい」と「在任期間」のクロス分析の結果、1期目から5期目まで、期を重ねるごとに「民生委員をやってよかった」という回答が増加する傾向があることが示されています。つまり、民生委員・児童委員については今後、若い世代への啓蒙を促進できるかが重要なポイントになるかと考えられます。


 さらに、市内に10地区ある高齢者支援の総合窓口「地域包括支援センター」には毎月500件程度の相談があるといいます。生活支援・介護予防サービスの提供体制をコーディネートする「生活支援コーディネーター」は社会福祉協議会の職員が兼務しており、現在市内に6名しかいない状態です。市としては「緊急通報システム」といったICTシステムも総合的に活用しながら支援にあたっていますが、現在の体制のままでは将来的に支援体制が不十分であると考えます。三重県桑名市のようにさらにICTデバイスを活用した見守り強化等の検討も必要です。



 きたる超高齢化社会に備えるためには、若者を高齢者支援を担う人材として巻き込む仕掛けづくりが必要です。これからは高齢者を取り巻く人的資源を単なる「人手」と捉えるのではなく、資格がなくても、誰でも自身の特技や経験を活かして、高齢者支援の輪に参画できる仕組みづくりが重要だと思います。


 社会環境が変わり高齢者の生活ニーズが多様化している中で、介護資格がない若い人でも、スマートフォンでの動画撮影の方法やZoomの使い方を教えたり、メルカリを使った不用品の出品サポートをしたり、今の高齢者の生活をより良くするためのお手伝いは、いくらでもあると考えます。そして、高齢者支援に携わる方々が、単なるボランティアで終わるのではなく、支援した方がスキルやノウハウ、報酬等のメリットをしっかりと享受できる工夫や、社会課題をビジネスで解決できる仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。

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