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【市財政】令和7年度予算、徹底解説!小池の視点

  • 執筆者の写真: Yuya Koike
    Yuya Koike
  • 4月3日
  • 読了時間: 5分

 市議会議員として最も重要なことは、適切な財政運営が図られているかどうかをチェックすることにあります。なぜなら、税金がどのように使われているかはもちろんのこと、本市が住み良いまちとして、将来に渡り市民サービスを提供し続けられるかは「財政の健全化」こそ為すことができるからです。小池は兼ねてより本市の財政における課題や今後の展望についてお伝えしておりますが、今回はR7予算の審査で見えた市財政の動きについて解説します。


R7予算は過去最大の882億円!

なぜ予算が肥大化したのかを分析!


昨年度対比+95億円とR7は過去最大の予算となりました。他自治体と同様に生活に困っている人や子育てをしている世帯、 障害者などの生活を社会全体で支えるための費用(扶助費)の割合が中長期的に増加していることが大きな要因です【図1】。市税による歳入も増加しているものの、予算総額に対する比率は低下していることから、歳入増が歳出増のスピードに追い付いておらず、国や県の交付金への依存度が高い状況であると言えます。

予算総額と扶助費・市税割合の推移
【図1】予算総額と扶助費・市税割合の推移 単位:億円、%

歳入は持続的に伸長。税外収入も大幅拡大!

しかし歳出の伸び幅には追い付かず。


歳出の拡大ペースには追いついていないものの、歳入確保で苦戦する自治体が多い中、本市の市税収入は堅調に推移しています。特に、産業の4割を占める製造業や卸・小売業が回復基調になったことで、法人市民税が増加見込みに転換。また、物流倉庫立地により固定資産税も4億円の増加があり、市内事業所支援や企業誘致により、さらなる拡大が見込めることから、今後産業振興の重要性が増してくるものと考えます【図2】


個人市民税の推移
【図2】個人市民税の推移 単位:千円
法人市民税の推移
【図2】法人市民税の推移 単位:千円
固定資産税の推移
【図2】固定資産税の推移 単位:千円

 一方で、今まで増加傾向にあった個人市民税は103万円の壁見直しを始め、国の動向により影響を受ける可能性が強まっています。R6の定額減税の影響で、結果として本市の財源不足額が拡大したことを踏まえると、積算がズレることも考慮する必要があります。

 小池が兼ねてより提言している税外収入の拡大については、ふるさと納税が好調【図3】。返礼品として電動自転車が寄付を牽引しており、ふるさと納税市場の動向に鑑みて、R7は6億円超を見込んでいます。返礼品数の増加やさらなるプロモーション施策の徹底で、市税や交付金に依存し過ぎない体制確保に前進していると言えます。今後もさまざまな財源確保策について提案を続けてまいります。

ふるさと納税寄付額の推移
【図3】ふるさと納税寄付額の推移 単位:千円

扶助費増に加え、施設の改修ラッシュ始まる。

エネルギー・物価高の影響も市財政を圧迫。


 歳出では、全ての科目が増額計上であり、総務費・民生費・衛生費の総額と比率が特に大きく伸びています【図4】

項目別昨年度予算対比
【図4】項目別昨年度予算対比

 総務費では、特に防災・減災に係る事業はR4対比で2倍となっています。防災士養成に係る補助などが新規計上されており、災害が激甚化、頻発化している昨今においては評価すべきと考えます。そして、R7の4月から「ぐるっとくん」の運行見直しにより96便から117便に増便することに伴う費用も計上されています(運賃は100円から200円に増額)。

 民生費は先述の通り、扶助費の増やR8に瓦葺で開設予定の民間保育所整備の支援が予算化され、待機児童ゼロを目指せる体制が確保される予定となっています。さらに、定員がひっ迫している中央小学童に2施設を追加確保するための予算が新規設置されています。

 衛生費では総合福祉センターの大規模改修が本格化することによる費用の影響が大きい状況です。

 他にも土木費においては、芝川の浸水被害軽減に向けた雨水流出抑制施設の整備戸崎公園北側の未利用地設計に係る費用が計上。教育費については、図書館本館の更新設計民間スイミングスクールを活用した水泳授業の拡充不登校児童生徒への支援拡充などの予算が新規ないしは拡充計上されています。

 その中で注視しなければならない事項がエネルギー高・物価高による市財政への影響です。特に役務費の内訳では通信運搬費がR5決算比で192%、手数料も158%となっており、委託費は121%となっています【図5】。今までは光熱水費の増加が顕著でしたが、現在は高止まりしている状況です。これらの物価高による影響は、国からの交付金によって補填措置されることとなっています。しかしながら、本国会での予算審議が難航しており、いつどの程度措置されるかが不明確な状態です。国政の不安定は地方自治体運営にも飛び火するため、市長においては近隣自治体とも連携し、早期に物価高に対する交付措置を実現するよう継続して声をあげるべきと考えます。

歳出の節別年度推移
【図5】歳出の節別年度推移 単位:千円

基金の取り崩し額が過去最大の40億円に。

今後の市政運営に重要なポイントとは?


 市政を適切に運営するにあたり、中長期的な財政運営をどのように行うかは重要な視点です。その意味で小池の最も懸念している事項が「基金の運用面」になります。

 自治体の基金は財源不足を埋める目的で活用されていますが、市議の中には「基金に積み立て過ぎている」という議員もいます。しかし、実際R7の予算編成にあたっては、40億円を取り崩さないと事業予算を確保できない状態で、取り崩し額も年々拡大しています【図6】

財政調整基金の取り崩し額の推移
【図6】財政調整基金の取り崩し額の推移 単位:千円

 本市では、概ね40億円基金に積み立てることを財政の安全基準として定めていますが、既にそのラインと同等額の取り崩しが発生してしまっていることや今後学校施設を始めとする公共施設の更新ラッシュがあることを考慮すると、基金の積み立て基準額の増額も視野に入れて見直しをかけるべきと考えます。


 予算審査では、特に市民への啓発を目的とした事業で、効果が不明瞭なものがあり、継続するにも明確な効果基準を設定すべきと要望しています。さらに緻密な事業精査が行われるよう努めてまいります。

 
 
 

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