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【コラム】夏場の水道料金減免が可決。そこに潜む物価高騰対策重点支援臨時交付金の功罪

  • 執筆者の写真: Yuya Koike
    Yuya Koike
  • 6 時間前
  • 読了時間: 4分

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令和8年6月の上尾市議会において、夏場の水道基本料金2か月分を減免する補正予算が可決されました。


エネルギー価格や物価の高騰が続く中、市民負担を軽減するこの取り組みは、大変意義のある施策であり、私も評価しています。


今回の事業が実現した背景には、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」があります。財政の硬直化が進む地方自治体にとって、このような交付金は非常にありがたい制度であることは間違いありません。


しかし、その一方で、今回の制度からは地方財政が抱える課題も見えてきました。


「国の交付金で実施」とは限らない


「国から交付金が出た」と聞くと、多くの方は国が事業費を全額負担しているような印象を持たれるかもしれません。


しかし、実際はそうではありません。


今回、上尾市が実施する水道基本料金2か月減免に必要な事業費は約1.8億円です。


そのうち、国から交付された交付金は約6,700万円。


残る約1.1億円は、市の一般財源によって賄われています。


つまり、事業費の約6割以上を上尾市が独自に負担していることになります。


この1.1億円は、本来であれば将来に備えて基金へ積み立てることもできた貴重な財源です。


減免制度の財源内訳
事業総額の63%を市費で負担している制度設計となっている。

将来世代への備えとのバランス


上尾市では今後、学校施設の更新、新ごみ処理施設の整備など、多額の財政負担を伴う事業が控えています。


人口減少や少子高齢化が進む中、持続可能な財政運営を行うためには、基金を計画的に積み立て、将来世代への備えを確保していくことが重要です。


もちろん、物価高対策は必要です。


しかし、そのために自治体が多額の自主財源を追加で負担しなければ制度を実施できない仕組みは、本当に持続可能と言えるのでしょうか。


地方自治体によって支援に差が生まれる


今回の制度には、もう一つ気になる点があります。


それは、自治体ごとの財政力によって実施できる支援に差が生じてしまうことです。


財政に余裕のある自治体であれば、不足分を独自財源で補い、市民サービスを充実させることができます。


一方で、財政状況が厳しい自治体では、同じような支援を実施したくても難しいケースも考えられます。


国の制度でありながら、自治体の財政状況によって住民サービスに差が生まれるのであれば、制度設計として改善の余地があるのではないでしょうか。


今回の制度で感じた課題


私が今回の制度で特に課題だと感じた点は、次の2点です。


① 国の方針決定と交付額の決定が遅いこと


国会審議が長引いたことなどにより、自治体へ交付方針が示される時期が遅くなりました。


今回は「夏場」の支援という期限がある中で制度設計を行う必要があり、準備期間が十分確保できなかったため、現場の自治体職員に大きな負担が生じた側面があります。


地方自治体が円滑に事業を実施できるよう、国にはより早い制度設計と情報提供を期待したいところです。


② 交付金の総額が十分だったのか


今回、国全体で措置された交付金は1,000億円です。


しかし、上尾市では約6,700万円の交付額に対し、市が約1.1億円を追加負担する結果となりました。


今回の事例を見る限り、人口約20万人規模の自治体においても、交付額だけでは十分とは言えない実態があります。


地方から実情を発信しなければ、「交付金の規模が本当に適切だったのか」という検証は進みません。



国には「地方を信頼する制度設計」を


私は、国が物価高対策を講じること自体には賛成です。


しかし、国が用途を細かく指定し、不足分を自治体が負担する前提ではなく、地方の実情に応じて柔軟に活用できる十分な財源を確保し、自治体が主体的に判断できる制度設計へ見直していくことも必要ではないかと考えています。


地方には地方の事情があります。


だからこそ、現場に最も近い自治体が地域の実情に応じて判断できる仕組みこそが、住民にとって最適な支援につながるはずです。


今後は、地元の尾花代議士のお力もお借りしながら、地方自治体の実情を国へしっかりと届け、より実効性の高い交付制度となるよう提案してまいります。


「交付金をもらえたから良かった」で終わるのではなく、その財源も私たちが納めた税金であることを忘れてはなりません。


地方の現場から制度の課題を発信し、自治体の実情に即した、より持続可能な制度へ改善していくことも、地方議員の大切な役割だと考えています。

 
 
 

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